香りが記憶に残る「印象」になることもある
初対面の相手とすれ違ったとき、「あ、この人なんだか素敵だな」と感じた経験はありませんか?
服装や話し方と同じくらい、香りは人の印象に大きく影響します。中でも香水は、その人の雰囲気を言葉にせず伝えるツールのひとつ。
ほんのりと香る程度であっても、それが自然体で心地よければ、それだけで好感を持たれることも少なくありません。
逆に、香りが強すぎたり、自分に合っていなかったりすると、第一印象を損なう原因にもなり得ます。
香水はファッションの一部であり、コミュニケーションの一部でもあります。
どんな香りを選ぶか、どこにつけるか。その選択が、相手との距離感や空気の作り方にまで影響するからこそ、自分らしくも相手に配慮した選び方をしておきたいものです。
香水の種類と香りの構成を知っておく
香水とひとことで言っても、その濃度や持続時間によっていくつかの種類に分かれます。
代表的なものは以下の通りです。
まず「パルファム」は最も濃度が高く、香りが長く続くタイプ。重厚感があり、夜のお出かけやドレススタイルに向いています。
次に「オードパルファム」は、日常使いしやすいバランス型。5〜7時間ほど香りが続くため、仕事後の予定にも対応できる頼もしい存在です。
「オードトワレ」はより軽やかで、香りの持続は3〜5時間ほど。朝の通勤時や短時間の外出に適しています。
「オーデコロン」は最も軽く、香りも1〜2時間と短め。汗ばむ季節や気分転換に向いています。
また、香水は「トップノート」「ミドルノート」「ラストノート」という香りの変化で構成されています。
つけた瞬間に香るのがトップ、その後に広がるミドル、そして数時間後に残るラスト──香水の印象は、この変化も含めてつくられるのです。
気になる香水があったら、いきなり購入するのではなく、一度肌につけて一日過ごしてみるのが理想的です。
香りは体温や肌質によって微妙に変化するため、自分に自然に馴染むかどうかを確かめることが大切です。
シーンに合わせた香り選びとつけ方のマナー
ビジネスシーンでは、清潔感と控えめな香りが基本です。
たとえば柑橘系のシトラス、石けんを思わせるフローラル、ウッディ系の落ち着いた香りは、相手に安心感を与えやすく、好印象につながります。
反対に、甘すぎる香りやエキゾチックすぎるものは、空間によっては強く感じられることがあります。
オフィスや会議室など密閉された場所では、香りがこもりやすいので特に配慮が必要です。
つける部位もポイントです。香水は、体温が高い場所にふんわりと香りを漂わせるのが理想的。
手首やうなじ、ひじの内側などが定番ですが、ふんわりと空気にのるように、足首や膝の裏といった下半身につける方法もおすすめです。
こうすると、動いたときに自然と香りが広がり、さりげない印象を演出できます。
また、つけすぎには注意しましょう。ワンプッシュで十分な製品もあります。
香りに慣れてくると物足りなさを感じてしまうこともありますが、他人には十分に届いていることが多いものです。
香水は「自分のため」であると同時に、「相手への配慮」でもあります。
シーンに合った香りを身につけることで、身だしなみや空間の空気感までも整えてくれるのです。